
3月に発表、発売されたRyzenシリーズ。 今でも人気ですね。
その中でも人気のある1700を、発表から少し間を置いて捕獲しました。
当初は原因不明の不具合(?)のような症状に悩まされていたのですが、
ようやく安定動作のめどが立ったこともあり、オーバークロックにチャレンジしました。
AMDプラットフォームはThunderbird以来16~17年ぶり、
同プラットフォームでのオーバークロックは初のチャレンジになります。
まずはハードウェア構成から。
本題に入る前に、AMDは、Ryzen発表後Windows 10における電源プランに言及、
「バランス」ではなく「高パフォーマンス」に設定するよう推奨、その後、
Ryzen向けに最適化された電源プラン「Ryzen Balanced」をリリースしました。
こちらのサイトからダウンロードが可能で、ダブルクリックすることで適用できるほか、
現在は、最新の
チップセットドライバにも同梱されています。
せっかくなので、この3つの電源プランで、消費電力やその他簡単な比較を行いました。
| 消費電力 (アイドル/高負荷) | CINEBENCH R11.5 | CINEBENCH R15 |
バランス | 56W/132W | 14.84 | 1372 |
高パフォーマンス | 62W/133W | 15.03 | 1353 |
Ryzen Balanced | 60W/132W | 15.31 | 1383 |
ここで掲載している消費電力は、すべてシステム全体の消費電力です。
また、上記負荷時の消費電力は、Prime95実行時のものです。
メディアでのレビューでは、ゲームタイトルによって差の有無に違いがありましたが、
CINEBENCHでは微妙に差が出ている印象があります。
消費電力は、2~3W程度の変動が頻繁にあるので、差があるのかと聞かれると、
正直よくわからないレベルではあります。
というわけで、本題のオーバークロックにはいります。
2ちゃんのオーバークロックスレなんかを見ていると、3.7~3.8GHzあたりに第1の壁、
そして、3.9~4.0GHzあたりに第2の大きな壁がある印象ですが、果たして…?!

「まぁこれくらいならいけるでしょ」なノリで3.5GHzからスタートです。
安定度を探る負荷テストは、OCCTのLinpack (AVX使用) を1時間とします。
結果は、予想通り難なくOCCTを1時間パスできました。
ちなみに、Ryzen 7 1700の動作クロックは3.0-3.7GHzですが、
定格動作時は、各コア毎で動作クロックが異なり、3.7GHzは2コア使用時、
全コアフルロード時の最大動作クロックは3.2GHzになります。
また、オーバークロック設定を行うと、前コアが同一クロックで動作します。

続いて3.6GHz。 こちらも難なくOCCTをパスしました。

そして3.7GHz。 ここでまず最初の壁が立ちはだかります。
突然Vcoreを要求し始め、+0.1Vを乗せてようやくOCCTがパスできました。
+0.025Vや+0.05V程度であればまだ希望はありますが、
この時点で+0.1Vとなると、不安の方が大きくなります。
そして3.8GHz…スクリーンショットを撮り忘れてしまいました。
結果的には…アウトでした。
さらに+0.1V上乗せしましたが、それでも不安定なときがあります。
そして、何度か落ちた後、システムの何かがだめになってしまったのか、
特定のアプリが必ず落ちてしまうようになり、Windowsを再インストールしました。
AMDによると、Ryzenで常用オーバークロックをする場合は1.35Vまでを推奨、
一時的には1.45VまでOKだけど、寿命に影響を与える可能性があるとのことなので、
3.8GHzの常用は厳しいと判断し、断念することにしました。
このマザーボード、電圧関係とか設定項目がかなり少ないので、
マザーボードによっては、もう少しくらいは伸びていた可能性があるかもしれません。
これはあくまでも個人的な推測ですが、低クロックなら低電圧で動作し、
クロックが上がると急激に電圧が必要になる個体が1700無印として、
一方、低クロックでもそれなりの電圧を要求するけど、クロックが上がっても
極端に電圧を要求しないのが1700X/1800Xに使われているとすれば、
OCスレで1800Xあたりの4GHz報告が多いのも納得できます。
というわけで、今回購入した個体の常用OCは、3.7GHzと判断しました。
しかし、0.1GHzのために+0.1V盛るのもちょっとアホらしい (w) ので、
3.6GHz@1.2Vで常用することにしました。
それでは、簡単ではありますが、消費電力やベンチなどの比較をご覧ください。
それと、比較用に、それまで使っていたCore i5-4670K@4.3GHzの結果も併記します。
ハードウェア構成が若干異なっていたり、OSも異なったりしているので、
参考程度に…ということでお願いします。

Ryzenの発売に合わせてリニューアルされたCrystalMark 2004R7です。
(Core i5-4670Kのスコアはリニューアル前のバージョン)

CINEBENCH R11.5

30分映像のエンコード時間 (単位は秒) ※Aviutl使用/x264/2pass/2Mbps

消費電力と負荷時のCPU温度。
※Core i5-4670KはPrime95、RyzenはOCCT Linpack
※Core i5-4670KのCPU温度は、今回計測時の室温差分をオフセットしています
とまぁ、なんだかまとまりのないデータになってしまいました。
できれば3.8GHz、あわよくば4GHz常用できればと思っていましたが、
無印1700では、OCスレでも報告が多かった、3.7~3.8GHzに壁があるようです。
もしそれ以上を狙うのであれば、1700Xや1800Xのほうがいいかもしれません。
ちなみに使用感は、Haswellの時よりも動作クロックは低いですが、
特に遅さを感じるという場面もなく、比較的快適に使用できています。
また、ブラウザでリンク先のウィンドウをいっぱい開いたときなどは、
全部開ききるまでHaswellだともっさりしていましたが、
Ryzenではもっさり感も少なく、コア数の多さによる恩恵を感じました。
というわけで、オーバークロックの結果はやや不満がありますが、
性能自体には特に不満はないので、このまま数年使うことになりそうです。